2008年11月30日

見上げれば美しい夕焼け空が:黒澤明映画「生きる」より(No.46)

黒澤明監督の名作映画「生きる」(1952年)。初老の役所の課長(演じているのは志村喬)がガンで余命わずかに。無為に過ごした人生を振り返り、最後の人生をいかに生きるか苦悩するというドラマ。印象的なシーンなどを少し。
ガンの宣告後、自分の生き方とまともに向き合うことに。しばらくは途方にくれて酒や若い女性に救いを。でも、市民から何度陳情されても放置されていたある施設の処理。そこの公園化に生きがいを見出すことに。
堕落した役人根性の厚い壁。うとまれながらも、いくつもの担当部署を訪れて頭を下げ続けて。そして、亡くなる前に、ついに完成。
雪の降るなか、公園のブランコで満ち足りた思いでゴンドラの唄を歌いつつ命果てゆく主人公…
「いのち短し恋せよ乙女 (中略) 熱き血潮の冷えぬ間に 明日の月日はないものを」
今聴いても、わが人生に重ねてしまう人は少なくないのでは。公園建設にひた走るなか、ふと見上げた夕焼け空に見とれるシーンが。しかし自分には見とれている時間は残されていない…。
課長が見上げた夕焼け空は、一枚の巨匠の名画に劣らなかったのでは。
真に生きようとする人間の美しさ。そして、その人には見える「美」というものがあることを、黒澤映画は語りかけているような気がします。
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posted by Drアート at 12:30| Comment(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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